- 臨床推論を勉強したほうがいいってたまに聞くけど、役立つの?
- 臨床推論は医者が診断するときの考え方でしょ?◯◯師・◯◯士には関係ないっしょ。
- 臨床推論って何?おいしいの?
こんな疑問にお答えします。
結論
- 臨床推論で、「デキる◯◯師・◯◯士」になれる
- 臨床推論は、医師だけのものじゃない
- 臨床推論は、おいしい
2006年に医学部を卒業した、救急医です。一番大好きな仕事は講義と授業づくり。医師に限らず、あらゆる職種の仲間と一緒に医療の勉強するのが大好きです。
看護師特定行為研修で、看護師さんと臨床推論を勉強してきた内容をのせていくので、きっと多くの人の力になるはず!個別の質問にも答えていくので、フォームから遠慮なくご質問くださいね。
では内容に行ってみましょう!
医師以外の職種で役立つの? 〜学ぶ意義〜
最終結論です。ずばり…
「デキる◯◯師・◯◯士」になれる! ↓ もっと患者さんのためになる!
デキるってどんな感じ?
【実例】臨床推論があるとこうなる 〜看護師を例に〜
看護師が、入院患者さんのSpO2が低下しているのに気づいた。
臨床推論を身につけているとどうなるのか、見てください。
臨床推論を学ぶとこのような考えかたができるようになります。
どうです?勉強したくなりましたよね?一緒にやりましょう!
臨床推論って何? 〜かんたん定義〜
まずは定義ですね。即答え!
我々医療従事者が、患者さんの問題を見つけてから解決するまでの、考えるプロセス
です。
狭くは、医師が診断するまでの思考過程、です。でも、10年くらい前から、医師以外の業界でも臨床推論を教育することの重要性が言われてます。とはいえ、どの業界でも公式カリキュラムには入ってなさそうですね。そのためか商業誌でよく取り扱われています。
えー、でも診断は医師の仕事だし…
たしかに!
診断は医師のみに許された営為です。ですが、臨床推論は違います。
我々(医療従事者)の仕事って、
だと思っています。直接的にしろ間接的にしろ。
例えば
- (看護師)入院患者のSpO2が低下した → 吸痰した
- (救命士)転倒、頭部打撲して119した → 脳外科対応可能病院を選定し搬送した
でもこれ、ほんとうは間がめっちゃ飛ばされていて、ほんとうは、
つまり
- (看護師)入院患者のSpO2が低下した →①②③→ 吸痰した
- (救命士)転倒、頭部打撲して119した →①②③→ 脳外科対応可能病院を選定し搬送した
この「吸痰した」「搬送した」に至る、原因はなに?判断に必要な情報は?解決策の選択肢は?、と考えるところがまさに臨床推論なんです。
というわけで冒頭の結論、臨床推論とは!
我々医療従事者が、患者さんの問題を見つけてから解決するまでの、考えるプロセス
少しわかりやすくいうと、
我々医療従事者が患者さんの問題を見つけたとき、原因はなに?その判断に必要な情報は?解決策の選択肢は?と、考えること
なぜ臨床推論を学ぶと「デキる◯◯師・◯◯士」になれるのか
①②③がある行動と、①②③がない行動、どちらが質が高い医療従事者と言えそうですか?
①②③の考えかたを身につけるためにも、質を高めるためにも、臨床推論はとても役立ちます。
診断する職種じゃなくても、原因の検討・情報収集・対処法の吟味は重要ですもんね!
冒頭の看護師の例を読み直してもらえたらと思います。
看護師特定行為研修で、看護師さんと臨床推論の勉強をしてきました。この研修の一つの柱に「医師の思考を学ぶ」があります。私はこれを「医師の視点で臨床推論を学ぶ」と置き換えて向き合いました。
一緒に勉強した看護師さんたちから、楽しい!役に立った!とポジティブな反応をたくさんいただけて確信しています。
医師の視点で臨床推論を学ぶと、楽しみながら「デキる◯◯師・◯◯士」になれる!
もちろん、本業の経験・修行あってこそ、ですが。
具体的にはどんなことを勉強すればいいの? 〜学ぶ内容〜
この①②③を分解して勉強していきます。たとえばこんな感じ。
- 原因を考える
- 考えながら情報を集める! 同時進行 and/or 交互進行
- 病気からでなく、症状から考える練習を!
- 「可能性のリスト」を持とう!
- 「可能性のリスト」はランキングがすべて
- 究極奥義「しらみつぶし」
- 「ひらめき」という諸刃の剣を有効に活用する
- 情報を集める
- 【基本】原因に迫る情報集めの姿勢
- 【問診】原因に迫る問診のとりかた
- 問診は「時間」だ!
- 質問ワザを使いこなせ!
- 患者さんに「ちゃんと伝わる」話し方
- 急げ!エマージェンシー問診
- 【診察】原因に迫るフィジカルのとりかた
- フィジカルは「空間」だ!
- 探しているものはある。探してないものはない。フィジカルの哲学。
- 最強のフィジカル「バイタルサイン」を極めよう
- 急げ!エマージェンシーフィジカル
- 【検査】原因に迫る検査データの読み方
- 解決法を考える
- 全てはリスク・ベネフィットのバランスだ
- 患者さんに示すべき選択肢の決め方は?
- 各論;この症状・所見・出来事・問題から取り組もう
- 痛い;頭痛胸痛腹痛
- 苦しい
- 熱がある;コロナじゃなけれりゃそれでいいわけがないだろう
- SpO2が上がらない
- 倒れたけど大丈夫
- 怪我した
- 番外編
- 華麗にスルーしたStep 0;問題はどのように発見するのか?
- 見ないふりしているStep 4;本当に解決したのか?それが問題だ。
このブログに投稿していきます!
ここから勉強したい!など、コメントいただければそこから投稿していきます!
どうやって身につければいいの? 〜学びかた〜
おすすめはこちら
シミュレーション → 実践 → 振り返り
医師にとって臨床推論は超基本かつ最重要スキルです。日本の医学生は(大学によりますが)あまりこの訓練を受けれないまま研修医なります。なので、けっこう「ほぼゼロ」に近い状態で働きだします。ですが、現場に出るとすぐに
を基本業務として毎日毎日取り組まされます<実践>。カルテを書いたり上級医にプレゼンしたり、各職種のかたに指示を出したり、患者さんに説明したり。それに対して、上級医からの指摘や指導(お叱り)、各職種からの質問や指摘(お叱り)、患者さんからの質問やご指摘(お叱り)を受けながら2年間を過ごします<振り返り>。終わる頃には標準的な臨床推論力を身に着けています(病院差、個人差あります)。
思考過程の訓練はやってみないと身につきにくいです。なので、このブログで学んだ実際の現場で使ってみましょう。臨床推論という言葉は初めてや理解不十分でも、
という過程は職場で行われているはず。
<実践>ブログではスキルを分割して提供するので、一個一個がすぐに職場で試せるものだと思います。ぜひご活用ください。
<振り返り>できれば自分の考えた結果を職場の先輩や上司にコメントもらえるととてもいいです。なかのいい(臨床推論に関心の高い)医師がいればそのかたに振り返りしてもらってもいいかもです。もしちょうどいい相談者がいなければ、質問フォームに「こんな患者さんでこんな風に考えたけど、どや?」って送ってくれれば私がコメントさせていただきます!
まとめ
臨床推論とは、医療従事者が患者さんの問題解決にとりくむ思考過程である。その質はシミュレーションを経て、実践と振り返りを繰り返すことで伸びていく。
臨床推論を学ぶことで、普段のみなさんの医療活動にプラスの影響があるはずです。あいまないなところがはっきりしたり、正しいことの根拠が明確になったり。個人もチームも成長できます!
今後も一緒に勉強していきましょう!
読んでくれてありがとうございました!
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